業界によるチェック思想の違い

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業界が違えば、チェックの考え方も違ってきます。
でもそれに気づかずに、
「どうして住宅業界の人は、チェックをちゃんとしないのですか。!プンプン((`・∧・´)) プンプン! 」
「つけようと思っていたドアが、梁が邪魔をしてドアの高さを低いものに変えなければならなくなった。着工前に十分チェックしていればわかった事ではないですか。( ・∀・)<<《愚痴愚痴愚痴愚痴愚…」
と、建築主と業者の間に不信感が生まれます。

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尺度の違い

まぁ、実際に私が怒られたわけではありませんが、愚痴を聞きます。
でも、この手の問題は比較的起こる問題ですし、どうして事前にチェックしないのですか・・という疑問を返して来られる方も,実は「IT系、理工系、技術系の人」が多いのです。
そして、その方により深く聞いてみると・・・。
自分はIT系でも、ソフト制作中心です」とか、「私はプラントの鋳型設計です」といったいわば一品種大量生産の設計に関わっている方なのです。

ところが、住宅業界とここれらの方の業界では、「チェックに対する思想や力点」が全く違います。
それは、下の図をよくよくご覧いただくと、何かがわかるのではないでしょうか。

ある会社のある部門の売上が100億円だったとしましょう。
一番左の住宅業界は、一品種1戸の特異な業界です。100億円売り上げるのに1戸2000万円の家として500品種あります。(間取りや使う材料が全て異なるからです)
対して、少量・他品種の洋服や陶器は、1つの品種で2億円売り上げるなら、100億円の売上では50品種ある事になります。
大量生産品は、たった1つの品種で100億円と仮定します。

製造前のチェックのミスがどう響くのか・・。

上の図を見て頂ければおわかりと思いますが、仮にチェックに必要な時間がそれぞれ同じと仮定すると、住宅など1量・多種の仕事では、間取りも使っている仕様も違う500戸の住宅に1時間のチェック時間が取れると仮定します。
同じ理屈であれば、少量・多品種の洋服などは、一つの品種に10時間のチェック時間が取れますし、ソフト開発では1つのソフトに500時間のチェック時間が割り当てられると言うことになります。
注:現実にはこんな単純な事ではありませんが!!

  • たとえばソフトウェアなどは、数百万本も売れた大ヒットソフトに大きなバグがあれば、その修正プログラムの手配や発送のみならず、会社の信用状態に関わってしまいます。鋳型もなにかミスがあれば、そこから作り出された製品は全てダメになってしまいます。
  • 反対に住宅などは、賃貸住宅以外は、同じ間取りなど全く無く、使われる材料も似てはいるものの様々です。
    そうすると、最初の着工までにチェックに十分すぎる時間をとると反対にその時間は住宅コストに添加せざるを得ず、コストも工期もかかってしまいます。
    反対にチェック漏れで希に発生するミスは、その1戸だけに終わり、その1戸に対してリカバリーを十分にしてあげるという思想であれば、コストも時間とも建築主、請負者双方に対して大きな負担にはなりません。

このように1品で大量生産か、1品1量という製造方法の違いで、チェックに対する思想が違ってくるんですね。

  • だから、大工が間違って穴を開けた・・なんてよく起こるトラブルで、大工の目の前で作業をチェックするなど、そもそもコスト的に不可能ですから、鋳型を製造するのに、つきっきりでずっとチェックしている・・というのとは根本的に違うんですね。

このあたりの背景を飲み込めると、ものの見方も寛容さも変わってきますよ。
逆にこのあたりの事情を飲み込めず、自分の業界のチェック方法だけを基準に物事を見てしまうとトラブルが発生することになります。

つまり、自分の業界の尺度で物事を判断するとダメな場合もあるよ・・ということですね。

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