冬にわかる正直業者、嘘つき業者

ある年の12月。
基礎のコンクリート強度を18や21N/mm2で打った建築会社が3社ありました。それぞれの対応をご紹介しましょう。

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建築会社それぞれの対応

CASE1:基礎をやり変えた業者

この業者の書いた図面(基礎伏図)には、設計強度21N/mm2に強度補正をすると書かれていましたが、工事をした基礎屋は、21N/mm2のままで底版コンクリートを打ってしまいました。

「強度補正をすると図面に書いてあるのではないのか」という建築主の指摘で、この業者は誤りを認め、せっかく出来た基礎を壊し、新しく強度補正をしたコンクリートで打つ直すと返事をし、出来た基礎を壊してやり換えた業者がいました。

CASE2:立ち上がりだけ27N/mm2のコンクリートを打つ

底版のコンクリートは21N/mm2と低いコンクリートを打ち、強度が低いのではないかと建築主が指摘すると、都合が悪いと思ったのか、「基礎に強度がかかるのは立ち上がりだけだからと、立ち上がりだけに強いコンクリートを打つ」と回答してきた業者がいました。

CASE3:早強コンクリートを打つとウソを言う

業者に「いくらのコンクリートを打つのか」と聞くと「18N/mm2のコンクリートだ。」という。
業者に「そんなに低い強度のコンクリートで大丈夫か」と聞くと、「早く強度の出る早強コンクリートを打つから温度補正は不要だ」という。

しかし、実際に底版コンクリートに打設したのは、早く強くなるコンクリートではなく、普通の18N/mm2のコンクリートだった。その地域は本州でも寒い日本の尾根に位置する場所なのですが、このような「無知」な業者もいます。

注:早強コンクリートとは、普通のコンクリートの倍近い早さで強度が出るコンクリートのこと。
普通は突貫工事などで使用されるコンクリートで、冬季の温度補正のために使うコンクリートではありません。

建築業者というのは、自分の都合の悪い指摘、知らない話には、平気でウソの説明をする業者と、出来てしまった基礎でも壊してキチンと直す正直な業者の二種類がいるらしい。わずかな値段の差なら、私は正直な業者に自分の住まいを建てて欲しいと思いますね。

ちょこっとCOLUMN

コンクリートの値段

2月の上旬にかけてがもっとも寒くなる季節なのですが、住宅にもコンクリートが使われています。ほとんどは基礎のコンクリートですが、今でも平気で18や21N/mm2と言った強度の弱いコンクリートを打つ業者が後を絶ちません。

弱い強度のコンクリートを打設する理由

その理由は、一つは、コンクリートの事を知らずに漫然と打っている。いわゆる『無知』からくるものです。もう一つは、少しでもコストを抑えたい、というコストダウンの理由のどちらかの理由でしかありません。さて、そんなにコンクリートの価格は使いのか?

コンクリートの価格差

ある事例で見てみましょう。
下の表は大阪広域生コンクリート協同組合が公表しているある年のコンクリートの価格です。

一般的な住宅で多い1階の床面積が60m3程度の建物の基礎コンクリートは、全体で約18m3使われます。
そうすると表のように21N/mm2のコンクリートの価格は、約15,200円前後(スランプ18)です。そして、本来冬の季節に使うべき27N/mm2のコンクリートの価格は、16,300円前後です。
その価格差は約1,100円/m3程度しか違いませんから、住宅程度の基礎に使う18m3のコンクリートのトータルの価格差は、たった20,000円程度なのです。

基礎工事の費用は、100万円前後しますから、たった2万円の費用をケチって、弱いコンクリートを打つ。
そうすると、冬に弱いコンクリートを打つのは、ただただ、建築主の事など全く考えたことのない。コンクリートの事など全く考えたことのない。ひたすら自分勝手なコストダウンあるいは無知による仕業以外の何者でもありませんね。

もし、18や21N/mm2程度の低いコンクリートが打たれようとしているなら、『みみっちいコストダウンなどするな!一生済むのは俺だぞ!!たった2万円のコストも惜しいのか』と言いましょう。
コンクリートの価格は、21N/mm2を27N/mm2に変えたところでたった2万円のコストアップなのですから。

注:生コンクリートの価格は、生コン会社が公表している場合が多いです。ネット検索してみましょう。キーワードは「生コンクリート 価格」です。

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