いつまでにどうやって家を持つ?

総務省が5年ごとに行っている調査で「住宅・土地統計調」というものがあり、直近では「平成30年(2018)」に調査が行われ、令和元年(2019)9月にその結果が公開されています。

この調査結果を見ると、住宅の取得についてなかなか興味深い傾向を知ることができます。

「住まい」をいつ、どうやって取得するのか。
その参考にしてみてください。

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持ち家志向

持ち家志向変わらず

上のグラフは1978年から2018年の41年間の持ち家率の変化ですが、ほとんど大きな変化無く、常に60%前後をキープしています。

高度成長、バブル期という良い時代から、バブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災等々の大きな経済苦境があったにもかかわらず、持ち家率はほとんど変化していません。

強い持ち家志向

そして、上のグラフは2016~2018年の年齢別の持ち家状況ですが、20才後半の年齢では取得率は低く9.1%程度しかありませんが、75才以上の年齢では実に81.8%もの世帯が持ち家を取得しています。(世帯が対象なので世帯主の年齢と言うことになります)

傾向で見ると20代後半から40代前半にかけて強めの取得カーブがあり、40才後半でひと休みした後、50才代から少しゆるめの取得カーブが始まり、75才代で81.8%の人が家を持っている、という事になります。

言い換えると、家が欲しいと考えている人のほとんど全ては、死ぬまでに終の棲家を手にしているという事に他なりません。

取得方法

次に具体的な取得方法を見てみましょう。
これも年代別に実におもしろい傾向が見られます。時代の変化を表しているのでしょう。

現代の取得方法

上のグラフは、2016~2018年に家を取得した人の取得方法です。
建売購入が19.1%で、中古住宅の購入はたった4.9%。新築は44%に及びます。
この新築には、「建築条件付き宅地販売」など、土地契約と建物契約が別々に結ばれるものも入っています。あるいは以前に取得していた、相続でもらった土地に新築をしたケースも含まれているでしょう。

そして、建て替え18.2%、相続でそのまま取得したのが1.6%です。

取得方法・年代別の変化

上のグラフは、1970年以前から、2018年に至るまでの年代別の取得方法の変化をグラフ化したものです。

  • 建売住宅、新築ともに右肩上がりで伸びています。
  • 反対に相続による取得が大きく下がり、中古住宅の購入も緩やかに下がっています。
  • 建て替えについてはあまり大きな変化はありません。

相続が相対的に少なくなった理由は、やはりその家で育った子供が外に出て行った、という理由が大きく、その結果、土地は売られ、新たに分譲住宅や建築条件付き宅地などの宅地に生まれ変わったのでしょう。だから、建売購入や新築が増えたのでしょう。

相続をしても、自分たちでは使いようが無くなった土地建物は、廃屋のまま、空き家のまま長く放置されている例も見られるようになりました。また、中古住宅も魅力が無くなったようです。

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ちょこっとCOLUMN

終の棲家の継ぎ方

戦後以来、住宅戸数も、世帯数も伸びているのですが、今では総住宅数が総世帯数を上回っており、空き家率も下のグラフのように上昇を続けています。

上の問題は、廃屋、空き家問題を生じさせます。
この問題は、「次世代に対して、家をどう繋いでいくか」という問題に突き当たります。繋げなくなった家が廃屋、空き家となります。

空区画が多くなり、修繕積立金も集まらず修繕できなくなった築古年のマンション。
スキーブームが去り、暖冬も関係し、もはや、誰も利用しなくなった雪国のリゾートマンション。
中古マンションとしてはすでに買い手が付かず、維持も出来ず、かといって解体するには途方も無い費用がかかる。マンションにはそういう老朽化問題が出てきます。

戸建て住宅でも似たようなもので、相続するにも、子供達は違う土地に住み、不便な土地であれば売るにも売れない土地建物。家を壊せば固定資産税は6倍に跳ね上がる。

これから住まいを得ようとするときに、そんな先のことは考える必要もありませんが、人生の終盤には終の棲家の継ぎ方も考えざるを得なくなる日が来るのかも。

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