軸組で使われる木材とコスト

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無垢材と集成材

軸組に使われる木材には、大きく分けて、【無垢材】と【集成材】に大別されます。
さらに木材が乾燥しているかどうかで、【未乾燥材(グリーン材)】と【乾燥材】に分けられます。

無垢材とは、木材そのものを使ったもの。
集成材は厚み2cm前後の木材を合板のように張り合わせて造られています。また、無垢材の中には木材を乾燥させたものと未乾燥のまま使用される木材の2つがあります。構造材として考えた場合どちらが良いのでしょうか。

その代表的なメリット、デメリットは下記のようなものですが、大手ハウスメーカーなどではほとんどが集成材をつかい、柱だけは無垢材でも、梁は集成材、といった使い方も多く、すべてが無垢材、というところは極めてまれなのが現状です。

また、建売住宅など、ローコストで建てる住宅では、完成後の木材の割れなどお構いなしに、未乾燥の安い木材を使い、完成後にバリッ、メキッという木材の収縮音で夜中に目が覚める、といったこともありますから無垢材がすべて良いのだ。といったことは一概には言えません。

どうしても無垢材でなければ・・といったこだわりがなければ、むしろ品質が安定し、木の割れなどを気にする必要のない、あるいは木が割れてきた、と騒ぐ必要のない集成材の方が賢明と言えます。そして価格は集成材の方がほんの少し高いです。

また、少しでも木が割れたり、裂けたりすると欠陥住宅ではないかと気にする国民性からもそのようなことが起こりにくい集成材を建築会社も積極的に使う傾向があります。無垢材にこだわるなら乾燥材をつかい、目利きの効く棟梁が使わないとあまり意味がないかも知れませんね。

乾燥の区分メリットデメリット
無垢材未乾燥材同じ木材で比較すれば、木材の中でもっともコストが安い。ローコストにするため建売住宅などで多用される。乾燥が中途半端なため、完成後1年以上にわたって木材が収縮するため、バリバリと木がさける音がきこえ、壁などのクロスに割れ目が生じる場合がある。
注:ほとんどの場合は構造そのものに大きな影響は無い。
乾燥材 木の香り。で代表されるように集成材の接着剤などを気にする場合は無垢材が確実に安全。乾燥させているため、建物が完成しても未乾燥材のように木材が収縮することはあまりない。 無垢材であるため、木材の強度や品質に相当のバラツキがあり、木の選定や使い方に熟練を必要とする。
集成材乾燥材 工場で乾燥され、成型されるため、木材の強度、品質が一定で狂いが少ない。乾燥木材であるため完成後のバリバリという収縮音もほとんど発生しない。接着剤で張り合わせているため、考えようによっては接着剤の耐久性、シックハウス等々の懸念はある。 注:最近の集成材はすべてF☆☆☆☆となっており、基本的に安全だが。

木材の種類

木材にもそれぞれ特徴があり、その特徴に応じて使われる部分が概ね決まっています。

名称使用部位特徴
ヒノキ土台・柱 耐久性が高く、強度も強いため、土台や柱に使われている
ヒバ 土台 ヒノキ以外で耐久性が高いために土台に多く使われている。ヒノキより安価。
スギ柔らかい材料で、強度、耐久性はヒノキよりも劣るが、吸湿性の高さなどから、構造材、仕上げ材全般に使われている。
べいつが土台・柱外材で柔らかく耐久性は低いが加工がしやすく、安価なため、住宅用建材として多く使われている。
米松 粘り強いため、ほとんど梁に使われている。

集成材

集成材として使われる樹種は、ホワイトウッド、スプルース、スギ、ヒノキ、ヒバ、米松、赤松、カラマツ、エゾマツ等が代表的な樹種ですが、しようと思えばどんな木からでも集成材は作ることが出来ます。

木材の等級

木材には節の有無、あるいは節の多さなどを基準にして、無節、上小節、小節、特等、特一等、一等材、二等材といった区分がされており、無節とは、全く節のないもの。小節は、直径25mm前後の節が1m間隔程度のバラツキであるような状態。一等は大小の節がたくさんあり、強度的に全く問題無い程度の若干の死節やハチクライ(虫食い穴)等も混入している状態。といわれており、極めて感覚的な基準です。

つまり、等級は、基本的に節の有無や大小で分類され、当然木材は、自然材なので節が少ないほど高価、ということになります。

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木材のコスト

では、木材の種類によって価格に差があるのでしょうか。木材の価格は地域や時期によって大きく変動しているため、実際の価格を記載すると誤解をまねく場合もありますので、その部材のもっとも安い木材を100として比較をしています。

【土台】 米ヒバ、ヒノキと耐久性が高くなる樹種ほど高いですね。ただし、芯持ち材ではありませんから、土台でもっとも耐久性が高い芯持ち材はもっと高くなります。 なお、別ツガ材は防腐剤を加圧注入したうえで土台として使用します。

【梁】 ここでは、梁などでもっとも多く使われている無垢材の米松を比較していますが、未乾燥材と乾燥材では大きく価格がちがっていますね。無垢材だから何でも安心。ということはありません。

土台米ツガ(防腐土台)105×105.4m5,200円前後
菅柱スギ(特1等)105×105.3m3,300円前後
米松105×240.4m9,500円前後

建物と構造体のコスト

軸組工法では、土台や柱、あるいはそれらの手間代を含めて、建物総コストの中で、どの程度のコストを支払っているのでしょうか。

概ね、工事費の4割程度が木工事と言われ、そのなかに、

  1. 構造体となる土台や柱の材木の費用(25%前後)
  2. 合板など下地材の費用(18%前後)
  3. 大工さん等の人件費(35%前後)
  4. 幅木やカウンターなどの仕上げ材の材料費(22%前後)

の4つに分類されます。

たとえば、1800万円の建物なら、木工事に720万円前後、そのうちの材木の費用に180万円程度といった想定をすることも出来ます。

もちろん、これがすべてではありません。

木材のコストで説明しているように、安い木材と高い木材では最低でも1.3倍以上の価格差が生じ、さらに、木材の等級で述べているように、節の有無でも木材の価格は変わってきます。また、ローコスト系でよく見られるような4の仕上げにかかる部材を少なくする方法もあります。

また、ホームセンターに行けばわかりますが、合板はせいぜい1枚1,000円前後、木材も上の木材のコストで例示している土台や柱の価格を分解すれば、これらの木材の価格は、10cm角、長さ1mの木材1本で、わずか1,000円前後に過ぎません。

現場をざっと見渡して映る柱1本の値段は、せいぜい3,000円から4,000円程度にしか過ぎません。

しかし、この程度の建物なら坪単価いくら・・といった相場ができあがっているのも事実です。実は、わかるようでわからない。それが住宅価格の現状ですね。

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